人事事務の将来性 — AIに奪われる業務・残る業務
最終更新: 2026/03/24
採用応募書類の審査やオンボーディング資料の処理、給与福利厚生関連の書類管理など、データ処理と人の関わりを両立させる職種。AIは応募者の資格要件チェックや採用フロー管理を自動化できる一方で、新入社員の不安に寄り添うオリエンテーションや福利厚生制度の個別相談は人間が担う領域として重要性が高まっています。
人事事務とは
採用から退職までの従業員の人事管理に関わる事務を行う。
この職種のAI浸透度は40%。 19件の業務のうち7件でAIが活用され、12件は人間が中心です。 対面対応や必須資格・免許などAIには代替できない要素も多く、 AIとの共存が鍵の職種です。
なるには
入職にあたって特に学歴や資格は必要とされない。大学などを卒業し、企業や団体などに採用され、人事課など人事関係の部署に配属される。入職後様々な部署を経験した後、人事部署に配属されることが多い。労働法や人事労務管理に関する知識を有していれば有利な場合もある。 中途入社では、採用、賃金制度、社会保険関係の手続などに精通した経験者が求められる。 簡単な事務処理から始めて経験を積み、採用、人事異動、賃金制度の見直しなど重要な仕事をするようになる。 関連資格として「社会保険労務士」、「キャリアコンサルタント」、「メンタルヘルス・マネジメント検定」などがある。事業所(オフィス、工場など)の労働者数が50人以上になると専属の「衛生管理者」を置く義務があるため、有資格者は有利になる場合がある。 労働法規を始めとした様々な法規の知識を持っていることや、社内の他部門との連携・調整力、行政官庁や他企業との折衝力、情報収集力などが求められる。また、人事の仕事では個人情報も扱うため守秘義務を守る誠実さや、採用・査定等に個人的な感情を差し挟まない公正な態度なども求められる。
AI時代に伸ばすべきポイント
- 従業員ごとの住所・給与・欠勤・売上・人事評価・退職情報等のデータを記録する・従業員福利厚生制度や労災補償制度の運営を支援するを極める — AIでは代替できない領域
- 採用応募書類を処理・審査し、応募者の資格や適格性を評価するのAIツールを習得 — 効率化の武器に
- 傾聴力・説明力の重要性が今後さらに高まる
AIはどこまで浸透しているか
人事事務の業務全体のうち、実際にAIが使われている割合です。
人事事務の業務の60%は、まだ人間が担っています。AIの影響を受けにくい職種です。
業務ごとのAI浸透度
人事事務の業務を、情報処理面でのAI浸透度で分類しました。身体作業や対面業務の実行は含みません。
AIが担う業務
人間が担っている業務
この分析の見方
各業務のAI浸透度はAnthropic Economic Indexの実測データに基づきます。
※ AI浸透度は業務の情報処理・判断面への浸透を測定しています。身体作業や対面対応など物理的な実行はAIでは代替できないため、浸透度が高くても人間の作業が不要になるわけではありません。
- AIが担う業務
- 情報処理面でAIが50%以上浸透している業務。ただし身体作業を伴う場合、実行は引き続き人間が担います。
- 人間が担っている業務
- AI浸透度が50%未満の業務。対面対応・信頼関係・判断力など人間ならではの強みが求められるか、AI技術がまだ追いついていない領域です。
カラーバーは業務ごとの「AIの使われ方」を示します:
- AI直接指示(赤系)
- AIに直接タスクを指示する自動化的な利用。この割合が高いほど、AIが主導的に業務を行っています。
- やり取り改善(青系)
- 人間とAIが対話しながら成果を改善していく協働型の利用。
- フィードバック(紫系)
- AIの出力に対して人間がフィードバックを返す利用パターン。
- 学習(緑系)
- AIを通じて知識やスキルを習得する目的の利用。
- 検証(黄系)
- AIの出力を人間が確認・検証する利用。
なぜAIが入り込めないのか
AIの浸透を阻む「人間の強み」
60%の業務がAIに浸透していない理由は、以下の人間ならではの要素です。
高い対面でのやりとりが求められる仕事
この仕事では他者とのかかわり、対面での議論といった場面があり、AIだけでは対応が難しい領域です。
求められる力: 傾聴力、説明力
この仕事の原動力: 周囲や組織の支援
具体的な業務: 「新入社員に会社の方針の説明や会社生活のガイダンスをする。」「懲戒事案に対応する。」
社会保険労務士、キャリアコンサルタント、メンタルヘルス・マネジメント検定など、法令で定められた資格・免許が必要
この仕事では結果・成果への責任といった場面があり、AIだけでは対応が難しい領域です。
具体的な業務: 「求人への応募者の資格や適性を評価して、選考をする。」
ある程度求められる責任を伴う判断が求められる
この仕事では意思決定の自由、結果・成果への責任、意思決定と問題解決を行うといった場面があり、AIだけでは対応が難しい領域です。
求められる力: 合理的な意思決定
具体的な業務: 「従業員の在籍記録を維持管理する。」「人件費などの予算を策定し、管理する。」「従業員の勤怠管理と給与や賞与の算出をする。」
後輩や部下への指導・育成が役割の一つ
この仕事では他者とのかかわりといった場面があり、AIだけでは対応が難しい領域です。
求められる力: 説明力、指導
この仕事の原動力: 周囲や組織の支援
具体的な業務: 「従業員に行う教育訓練や能力開発に関する事務手続きを行う。」
AIが追いつきつつある領域
ただし以下の領域は、今後のAI進化でギャップが縮まる可能性があります。
正解のない状況での判断力が求められる
この仕事では優先順位や目標の自己設定、意思決定の自由、意思決定と問題解決を行うといった場面があり、AIだけでは対応が難しい領域です。
具体的な業務: 「新入社員に会社の方針の説明や会社生活のガイダンスをする。」
業界で変わるAIの影響
同じ人事事務でも、働く業界によってAIの影響度は異なります。デジタル化が進んだ業界ほど、AIとの接点が多くなります。
この分析の見方
- すでにAI化
- AIが直接代行している業務の割合。どの業界でも共通です。
- AI活用で伸びる
- AIツールを使いこなすことで生産性を上げられる領域。個人のスキルと業界のIT環境に左右されます。
- 組織のAI導入で恩恵
- 会社がAIシステムを導入することで、自然と恩恵を受けられる領域。
- 人間のみ
- 身体作業・対面・感情など、現在のAI技術では対応できない領域。
この職種の年収
厚生労働省「賃金構造基本統計調査」に基づく人事事務の給与水準です。
業界で変わる年収
同じ人事事務でも、働く業界によって年収は大きく異なります。
出典: 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(2023年)
この職種に向いている人
ホランドの職業興味理論(RIASEC)に基づく適性タイプです。
ルールに沿った正確な作業が得意で、組織の中で着実に成果を出すタイプが向いています。
求められるスキルと知識
人事事務に求められる主要スキルと専門知識です。スコアは5段階評価。
スキル
知識
働く環境と雇用形態
働く環境
雇用形態
必要な学歴・資格
AIでは代替できない専門性の証明。資格保持はAI時代の差別化要因になります。
関連資格
- 社会保険労務士
- キャリアコンサルタント
- メンタルヘルス・マネジメント検定
- 第一種衛生管理者
- 第二種衛生管理者
近い職種のAI浸透度
人事事務とキャリアが近い職種を、AI浸透度の違いで比較できます。
AI浸透度が低い職種
人事事務の将来性とAIの影響
「人事事務はAIに代替されるのか?」という不安を持つ方に向けて、データに基づく分析をお届けします。
AI代替率: 40%
AI代替率は40%で一部の業務は自動化が進みますが、対面対応・必須資格・免許が求められる領域は引き続き人間が中心です。
AIが変える業務
採用応募書類を処理・審査し、応募者の資格や適格性を評価する、採用・研修・苦情・人事評価・休職等の人事関連書類を処理・確認・管理する、試験・資格要件・給与・福利厚生等に関する質問に回答するなどはAIの活用が進んでいます。これらの業務は効率化される一方、新たな役割が生まれます。
AI時代に求められるスキル
傾聴力・説明力・指導といったスキルの重要性が高まっています。AIを補完する人間の強みを伸ばすことがキャリアの鍵になります。
よくある質問
人事事務はAIでなくなりますか?
人事事務がAIで完全になくなる可能性は低いです。AI代替率は40%で、12件の業務は引き続き人間が担います。ただしAI活用スキルが将来性を左右します。
人事事務はAIに代替される?
採用応募書類の初期審査や採用管理システムの自動化は進みますが、完全代替はありません。応募者ごとの個別相談、新入社員の不安対応、福利厚生制度の運用支援など、人間関係に基づいた対応が不可欠だからです。
人事事務でAIはどう活用される?
業種により異なりますが、AI総合活用度は80%です。すでにAI化されている部分が40%、AI活用で伸ばせる部分が25%、組織のAI導入で恩恵を受ける部分が14%です。
人事事務の将来性は?
むしろ高まります。AIが定型業務を自動化する分、人事事務は従業員エンゲージメント向上、ダイバーシティ推進、キャリア開発支援など、経営戦略に直結した業務にシフトしています。
AI時代に人事事務に必要なスキルは?
採用データの解釈、従業員ニーズのヒアリング力、法令改正への対応力が重要になります。単なる書類処理者から、人事戦略を支える分析者・サポーターへの転換が求められます。
人事事務で生成AIをどう活用できる?
人事事務では7件の業務でAIが活用されています。主な活用領域は採用応募書類を処理・審査し、応募者の資格や適格性を評価する、採用・研修・苦情・人事評価・休職等の人事関連書類を処理・確認・管理する、試験・資格要件・給与・福利厚生等に関する質問に回答するなどです。
この職種に影響するAI動向
実際のSaaS製品リリースがこの職種に与える影響を分析しています。
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最終更新: 2026/03/24
AI浸透度はAnthropicのAnthropic Economic Index (AEI)の観測値(CC-BY)に基づく。業種別分析は独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)作成「職業情報データベース」のデータを加工して算出。JILPTおよびAnthropicの見解ではありません。分析方法の詳細