介護事務の将来性 — AIに奪われる業務・残る業務
最終更新: 2026/03/24
介護事務は、介護保険請求や利用者情報管理といった事務処理がAIに移行する一方で、介護スタッフ・利用者・ご家族との関係構築、利用者の生活上の変化に対応した支援内容の提案、介護施設の運営判断には人間の共感力と経験が欠かせません。介護現場への理解を深めた事務職へと進化します。
介護事務とは
介護報酬請求事務(レセプト作成)を中心に介護施設の事務全般を担当する。
この職種のAI浸透度は35%。 40件の業務のうち13件でAIが活用され、27件は人間が中心です。 対面対応などAIには代替できない要素も多く、 AIとの共存が鍵の職種です。
なるには
入職にあたって、特に学歴や資格は必要とされない。レセコンを使用するので、パソコンの操作に慣れていると就職に有利である。 入職後は、サービス別基礎研修、マナー研修、法人理念研修などの入社時研修が行われる。(*1)レセコンに習熟すれば、半年程度で業務ができるようになる。 介護報酬請求事務に関する民間の資格がいくつかあるが、取得は義務づけられていない。 パートや契約社員から正社員になったり、規模が大きい施設では現場から本社勤務になるなどキャリアアップする例もある。 基本的には事務職なので、社会人としてのマナーや社会常識を含めた事務処理能力と来客や電話の応対などのコミュニケーション能力、そしてなによりもレセコンを使いこなせるだけのパソコンの知識、スキルが求められるが、事業所によっては介護補助まで業務に入っているところもある。 *1 取材結果から
AI時代に伸ばすべきポイント
- 必要に応じて購買業務を行う・発注書を作成し、仕入先と依頼元部門に送付するを極める — AIでは代替できない領域
- 購買依頼・契約・発注の進捗状況を管理するのAIツールを習得 — 効率化の武器に
- 傾聴力・読解力の重要性が今後さらに高まる
AIはどこまで浸透しているか
介護事務の業務全体のうち、実際にAIが使われている割合です。
介護事務の業務の65%は、まだ人間が担っています。AIの影響を受けにくい職種です。
業務ごとのAI浸透度
介護事務の業務を、情報処理面でのAI浸透度で分類しました。身体作業や対面業務の実行は含みません。
AIが担う業務
人間が担っている業務
この分析の見方
各業務のAI浸透度はAnthropic Economic Indexの実測データに基づきます。
※ AI浸透度は業務の情報処理・判断面への浸透を測定しています。身体作業や対面対応など物理的な実行はAIでは代替できないため、浸透度が高くても人間の作業が不要になるわけではありません。
- AIが担う業務
- 情報処理面でAIが50%以上浸透している業務。ただし身体作業を伴う場合、実行は引き続き人間が担います。
- 人間が担っている業務
- AI浸透度が50%未満の業務。対面対応・信頼関係・判断力など人間ならではの強みが求められるか、AI技術がまだ追いついていない領域です。
カラーバーは業務ごとの「AIの使われ方」を示します:
- AI直接指示(赤系)
- AIに直接タスクを指示する自動化的な利用。この割合が高いほど、AIが主導的に業務を行っています。
- やり取り改善(青系)
- 人間とAIが対話しながら成果を改善していく協働型の利用。
- フィードバック(紫系)
- AIの出力に対して人間がフィードバックを返す利用パターン。
- 学習(緑系)
- AIを通じて知識やスキルを習得する目的の利用。
- 検証(黄系)
- AIの出力を人間が確認・検証する利用。
なぜAIが入り込めないのか
AIの浸透を阻む「人間の強み」
65%の業務がAIに浸透していない理由は、以下の人間ならではの要素です。
高い対面でのやりとりが求められる仕事
この仕事では他者とのかかわり、対面での議論といった場面があり、AIだけでは対応が難しい領域です。
求められる力: 傾聴力、説明力
この仕事の原動力: 周囲や組織の支援
具体的な業務: 「電話応対、来客対応をする。」
ある程度求められる責任を伴う判断が求められる
この仕事では結果・成果への責任、意思決定の自由、意思決定と問題解決を行うといった場面があり、AIだけでは対応が難しい領域です。
具体的な業務: 「職員の出退勤管理を行う。」「サービス提供票を管理する。」「施設のWebページを管理する。」
業界で変わるAIの影響
同じ介護事務でも、働く業界によってAIの影響度は異なります。
この分析の見方
- すでにAI化
- AIが直接代行している業務の割合。どの業界でも共通です。
- AI活用で伸びる
- AIツールを使いこなすことで生産性を上げられる領域。個人のスキルと業界のIT環境に左右されます。
- 組織のAI導入で恩恵
- 会社がAIシステムを導入することで、自然と恩恵を受けられる領域。
- 人間のみ
- 身体作業・対面・感情など、現在のAI技術では対応できない領域。
この職種の年収
厚生労働省「賃金構造基本統計調査」に基づく介護事務の給与水準です。
業界で変わる年収
同じ介護事務でも、働く業界によって年収は大きく異なります。
出典: 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(2023年)
この職種に向いている人
ホランドの職業興味理論(RIASEC)に基づく適性タイプです。
ルールに沿った正確な作業が得意で、組織の中で着実に成果を出すタイプが向いています。
求められるスキルと知識
介護事務に求められる主要スキルと専門知識です。スコアは5段階評価。
スキル
知識
働く環境と雇用形態
働く環境
雇用形態
近い職種のAI浸透度
介護事務とキャリアが近い職種を、AI浸透度の違いで比較できます。
AIがより浸透している職種
介護事務の将来性とAIの影響
「介護事務はAIに代替されるのか?」という不安を持つ方に向けて、データに基づく分析をお届けします。
AI代替率: 35%
AI代替率は35%で一部の業務は自動化が進みますが、対面対応が求められる領域は引き続き人間が中心です。
AIが変える業務
購買依頼・契約・発注の進捗状況を管理する、注文状況・変更・キャンセルに関する顧客や仕入先からの問い合わせに対応する、カタログやインターネットで仕入先を探し、発注製品の情報を収集するなどはAIの活用が進んでいます。これらの業務は効率化される一方、新たな役割が生まれます。
AI時代に求められるスキル
傾聴力・読解力・文章力といったスキルの重要性が高まっています。AIを補完する人間の強みを伸ばすことがキャリアの鍵になります。
よくある質問
介護事務はAIでなくなりますか?
介護事務がAIで完全になくなる可能性は低いです。AI代替率は35%で、27件の業務は引き続き人間が担います。ただしAI活用スキルが将来性を左右します。
介護事務はAIに代替される?
介護保険請求や施設予約管理などの定型業務はAIで自動化できます。しかし利用者やご家族との相談対応、介護スタッフの勤務調整、施設運営の判断には人間の思慮深さが必要です。
介護事務でAIはどう活用される?
業種により異なりますが、AI総合活用度は52%です。すでにAI化されている部分が35%、AI活用で伸ばせる部分が13%、組織のAI導入で恩恵を受ける部分が4%です。
介護事務の将来性は?
介護需要の急増に伴い、施設運営を支える事務人材の価値はむしろ高まっています。AI化で浮いた時間を、利用者支援や職員育成に充てられるようになり、事務職の満足度ややりがいが向上する傾向です。
AI時代に介護事務に必要なスキルは?
介護保険制度・報酬算定の深い理解に加えて、介護職員や利用者の声を聞く傾聴力、施設経営に貢献するデータ活用提案、高齢者・障害者心理の基礎知識が重要になります。
介護事務で生成AIをどう活用できる?
介護事務では13件の業務でAIが活用されています。主な活用領域は購買依頼・契約・発注の進捗状況を管理する、注文状況・変更・キャンセルに関する顧客や仕入先からの問い合わせに対応する、カタログやインターネットで仕入先を探し、発注製品の情報を収集するなどです。
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最終更新: 2026/03/24
AI浸透度はAnthropicのAnthropic Economic Index (AEI)の観測値(CC-BY)に基づく。業種別分析は独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)作成「職業情報データベース」のデータを加工して算出。JILPTおよびAnthropicの見解ではありません。分析方法の詳細