IR広報担当の将来性 — AIに奪われる業務・残る業務
最終更新: 2026/03/24
投資家向けの情報提供・決算分析・IR戦略立案の領域ではAI活用が進む一方で、機関投資家との対話や経営陣の意思決定サポートは人間にしかできません。IR担当者はAIが提供するデータを投資家の視点で解釈し、企業価値を正しく伝える「翻訳者」としての役割に特化していきます。
IR広報担当とは
上場企業において、その企業の経営に関する事項をアナリストや投資家に対して提供する。
この職種のAI浸透度は45%。 18件の業務のうち7件でAIが活用され、11件は人間が中心です。 対面対応などAIには代替できない要素も多く、 AIとの共存が鍵の職種です。
なるには
この仕事に就くために、特に学歴や資格は必要とされないが、大学・大学院卒がほとんどである。自社についての様々な知識が求められることから、採用と同時に配属されることは少なく、社内の他部門から異動によってIR広報に配属されるのが基本である。経理・財務担当経験者が多いが、営業、企画などの経験者もいる。中には、技術系の人材も必要であるとして専攻分野の限定を積極的に避ける企業もある。 自社製品や経営状況、業界動向についての知識のほか、経理・財務・法律、資本市場などの知識、そして、説明会の設営やレポート作成のための企画力、的確な情報伝達力も必要となる。投資家やアナリスト等との良好な関係構築のための高いコミュニケーション能力やプレゼンテーション能力も求められる。また、グローバル化進展の中、海外投資家への説明対応機会も増えることから、英語能力の重要度が増している。
AI時代に伸ばすべきポイント
- 自社Webサイトやソーシャルメディアにコンテンツを投稿・更新する・地域・消費者・従業員・公益団体の代表者との協力関係を構築・維持するを極める — AIでは代替できない領域
- メディアからの情報提供依頼に対応し、適切な広報担当者や情報源を指定するのAIツールを習得 — 効率化の武器に
- 傾聴力・文章力の重要性が今後さらに高まる
AIはどこまで浸透しているか
IR広報担当の業務全体のうち、実際にAIが使われている割合です。
業務の45%でAIが活用されていますが、残り55%は人間ならではの対応が求められています。
業務ごとのAI浸透度
IR広報担当の業務を、情報処理面でのAI浸透度で分類しました。身体作業や対面業務の実行は含みません。
AIが担う業務
人間が担っている業務
この分析の見方
各業務のAI浸透度はAnthropic Economic Indexの実測データに基づきます。
※ AI浸透度は業務の情報処理・判断面への浸透を測定しています。身体作業や対面対応など物理的な実行はAIでは代替できないため、浸透度が高くても人間の作業が不要になるわけではありません。
- AIが担う業務
- 情報処理面でAIが50%以上浸透している業務。ただし身体作業を伴う場合、実行は引き続き人間が担います。
- 人間が担っている業務
- AI浸透度が50%未満の業務。対面対応・信頼関係・判断力など人間ならではの強みが求められるか、AI技術がまだ追いついていない領域です。
カラーバーは業務ごとの「AIの使われ方」を示します:
- AI直接指示(赤系)
- AIに直接タスクを指示する自動化的な利用。この割合が高いほど、AIが主導的に業務を行っています。
- やり取り改善(青系)
- 人間とAIが対話しながら成果を改善していく協働型の利用。
- フィードバック(紫系)
- AIの出力に対して人間がフィードバックを返す利用パターン。
- 学習(緑系)
- AIを通じて知識やスキルを習得する目的の利用。
- 検証(黄系)
- AIの出力を人間が確認・検証する利用。
なぜAIが入り込めないのか
AIの浸透を阻む「人間の強み」
55%の業務がAIに浸透していない理由は、以下の人間ならではの要素です。
非常に高い対面でのやりとりが求められる仕事
この仕事では他者とのかかわり、対面での議論といった場面があり、AIだけでは対応が難しい領域です。
求められる力: 傾聴力、説明力
この仕事の原動力: 周囲や組織の支援
具体的な業務: 「経営方針や企業理念を紹介する企業説明会、決算説明会、施設見学会等を設定し、説明等を行う。」「マスメディア等の取材に対応する。」「経営トップに対して直接報告・説明をする。」
高い責任を伴う判断が求められる
この仕事では結果・成果への責任、ミスの影響度、意思決定の自由、意思決定と問題解決を行うといった場面があり、AIだけでは対応が難しい領域です。
求められる力: 合理的な意思決定
AIが追いつきつつある領域
ただし以下の領域は、今後のAI進化でギャップが縮まる可能性があります。
正解のない状況での判断力が求められる
この仕事では優先順位や目標の自己設定、意思決定の自由、意思決定と問題解決を行うといった場面があり、AIだけでは対応が難しい領域です。
具体的な業務: 「経営方針や企業理念を紹介する企業説明会、決算説明会、施設見学会等を設定し、説明等を行う。」
高い学歴が求められる傾向がある
業界で変わるAIの影響
同じIR広報担当でも、働く業界によってAIの影響度は異なります。デジタル化が進んだ業界ほど、AIとの接点が多くなります。
この分析の見方
- すでにAI化
- AIが直接代行している業務の割合。どの業界でも共通です。
- AI活用で伸びる
- AIツールを使いこなすことで生産性を上げられる領域。個人のスキルと業界のIT環境に左右されます。
- 組織のAI導入で恩恵
- 会社がAIシステムを導入することで、自然と恩恵を受けられる領域。
- 人間のみ
- 身体作業・対面・感情など、現在のAI技術では対応できない領域。
この職種の年収
厚生労働省「賃金構造基本統計調査」に基づくIR広報担当の給与水準です。
業界で変わる年収
同じIR広報担当でも、働く業界によって年収は大きく異なります。
出典: 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(2023年)
この職種に向いている人
ホランドの職業興味理論(RIASEC)に基づく適性タイプです。
人と関わり、助け、教えることが好きなタイプが向いています。
求められるスキルと知識
IR広報担当に求められる主要スキルと専門知識です。スコアは5段階評価。
スキル
知識
働く環境と雇用形態
働く環境
雇用形態
近い職種のAI浸透度
IR広報担当とキャリアが近い職種を、AI浸透度の違いで比較できます。
AIがより浸透している職種
IR広報担当の将来性とAIの影響
「IR広報担当はAIに代替されるのか?」という不安を持つ方に向けて、データに基づく分析をお届けします。
AI代替率: 45%
AI代替率は45%で一部の業務は自動化が進みますが、対面対応が求められる領域は引き続き人間が中心です。
AIが変える業務
メディアからの情報提供依頼に対応し、適切な広報担当者や情報源を指定する、製品テストや市場性評価のための市場調査・世論調査を計画・実施し、結果を顧客や経営陣に報告する、組織の目的・宣伝方針・ニーズを分析し、世論に影響を与える広報戦略を立案するなどはAIの活用が進んでいます。これらの業務は効率化される一方、新たな役割が生まれます。
AI時代に求められるスキル
傾聴力・文章力・説明力といったスキルの重要性が高まっています。AIを補完する人間の強みを伸ばすことがキャリアの鍵になります。
よくある質問
IR広報担当はAIでなくなりますか?
IR広報担当がAIで完全になくなる可能性は低いです。AI代替率は45%で、11件の業務は引き続き人間が担います。ただしAI活用スキルが将来性を左右します。
IR広報担当はAIに代替される?
IR広報担当はAIに代替されるのか──データ解釈が差別化要因:決算分析や市場データの収集はAIが自動化されますが、複雑な経営戦略を機関投資家に納得させ、長期的な信頼を構築する対話スキルは人間にしかできません。IR担当者の価値は「データ処理」から「戦略的な説得」へシフトします。
IR広報担当でAIはどう活用される?
業種により異なりますが、AI総合活用度は81%です。すでにAI化されている部分が45%、AI活用で伸ばせる部分が23%、組織のAI導入で恩恵を受ける部分が13%です。
IR広報担当の将来性は?
IR広報担当の将来性は──投資家信頼の重要性は増加:ESG投資の拡大、アクティビスト投資家の増加により、複雑な経営課題を投資家に説明し、長期的な信頼を勝ち取れるIR人材の需要は高まります。データドリブン時代だからこそ、データの背景を語り手の視点で説明する「解釈者」が必要とされます。
AI時代にIR広報担当に必要なスキルは?
AI時代にIR広報担当に必要なスキル──データ解釈力と説得力:AI生成データの背景にある経営戦略の仮説を理解するビジネス分析力、複雑な財務・戦略情報を投資家に分かりやすく説明するコミュニケーション力、そして機関投資家の心理を理解する対話スキルが必須になります。
IR広報担当で生成AIをどう活用できる?
IR広報担当では7件の業務でAIが活用されています。主な活用領域はメディアからの情報提供依頼に対応し、適切な広報担当者や情報源を指定する、製品テストや市場性評価のための市場調査・世論調査を計画・実施し、結果を顧客や経営陣に報告する、組織の目的・宣伝方針・ニーズを分析し、世論に影響を与える広報戦略を立案するなどです。
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最終更新: 2026/03/24
AI浸透度はAnthropicのAnthropic Economic Index (AEI)の観測値(CC-BY)に基づく。業種別分析は独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)作成「職業情報データベース」のデータを加工して算出。JILPTおよびAnthropicの見解ではありません。分析方法の詳細