せり人の将来性 — AIに奪われる業務・残る業務

最終更新: 2026/03/24

19% AI浸透度(AI代替率)

卸売市場という「リアルタイム情報市場」でのせり人の価値は、品質判定と交渉力にあります。同じ商品でも旬、産地、等級により刻々と価値が変わり、目利きと即座の値付けが利益を左右。AIはデータベースには向いていますが、野菜の色合いから鮮度を判定し、市場の需給変動を読んで値付けする人間の感覚は代替不可能です。

せり人の要点 2026/03/24 更新
AI浸透度(AI代替率) 19%
人間中心のタスク 20件
AIに代替困難な要素 危機対応・感情労働・対面対応
AI実装済み領域 19%
求められるスキル 説明力・傾聴力・交渉

せり人とは

卸売市場において生鮮食料品(魚・野菜・果物・肉)や花き(切花・鉢物)などの「せり」を行い、市場内の卸売業者と仲卸業者・売買参加者などの間で商品の売買が公正かつ効率的に行われるようにする。

この職種のAI浸透度は19%。 20件の業務のうち0件でAIが活用され、20件は人間が中心です。 危機対応や感情労働などAIには代替できない要素も多く、 将来性の高い職種です。

なるには

入職にあたって、特に学歴や資格は必要とされない。せり人になるには、卸売市場の卸売業者(会社)の社員として採用され、その営業担当として配属され、販売業務を経験した上で「登録試験」に合格しなければならない。試験は各市場の管理者(自治体、事務組合など)が行っている。試験合格者には登録証が交付されるが、登録証は交付された市場でのみ有効である。 せり人には、一定の市場業務経験、法律や取引に関する知識などが必要とされる。多くの取引参加者が提示する価格を瞬時に読み取り、買受人を決定するための判断力や公正中立で誠実な態度も求められる。

AI時代に伸ばすべきポイント

  • 卸売・小売向けに商品や物資を仕入れる・仕入先と価格・割引条件・輸送手配を交渉するを極める — AIでは代替できない領域
  • 説明力・傾聴力の重要性が今後さらに高まる

AIはどこまで浸透しているか

せり人の業務全体のうち、実際にAIが使われている割合です。

AI 19% 人間 81%

せり人の業務の81%は、まだ人間が担っています。AIの影響を受けにくい職種です。

業務ごとのAI浸透度

せり人の業務を、情報処理面でのAI浸透度で分類しました。身体作業や対面業務の実行は含みません。

0
AIが担う業務
20
人間が担う業務

人間が担っている業務 浸透度 50%未満

卸売・小売向けに商品や物資を仕入れる
仕入先と価格・割引条件・輸送手配を交渉する
品質・数量・仕様・環境配慮などの要件に基づき商品を検討・選定・発注・購入する
値入率・値下げ率・商品販売価格を提案する
営業・購買担当者と協議し顧客のニーズや嗜好に関する情報を収集する
請求書の支払いまたは商品返品を承認する
売上記録や市場動向を分析し、消費者の購買パターンや必要在庫を予測する
ベンダーと協力し、必要な製品の調達や開発を行う
商品・製品の品質・価値・歩留まりを検査する
新商品紹介のための販売会議を実施する
店長や商品管理者と予算や仕入れ商品について協議する 補助
価格・値上げ値下げ率・製造番号等の値札印字情報を担当者に提供する 補助
販売・事務スタッフの教育・監督を行う 補助
広告掲載する商品・媒体・掲載時期を決定する 補助
新聞やメディアの広告を通じて競合他社の販売活動を監視する 補助
仕入判断時に競合商品の環境面を分析する 補助
輸送手段を比較しエネルギー効率が最も高い選択肢を決定する 補助
環境配慮型製品の消費者向け広告戦略を策定する 補助
代替エネルギーやカーボンニュートラル製品等のグリーン商品の仕入れ機会を特定する 補助
消費者の嗜好や環境トレンドを分析し、環境配慮型新製品の導入方法を検討する 補助
この分析の見方

各業務のAI浸透度はAnthropic Economic Indexの実測データに基づきます。

※ AI浸透度は業務の情報処理・判断面への浸透を測定しています。身体作業や対面対応など物理的な実行はAIでは代替できないため、浸透度が高くても人間の作業が不要になるわけではありません。

AIが担う業務
情報処理面でAIが50%以上浸透している業務。ただし身体作業を伴う場合、実行は引き続き人間が担います。
人間が担っている業務
AI浸透度が50%未満の業務。対面対応・信頼関係・判断力など人間ならではの強みが求められるか、AI技術がまだ追いついていない領域です。

カラーバーは業務ごとの「AIの使われ方」を示します:

AI直接指示(赤系)
AIに直接タスクを指示する自動化的な利用。この割合が高いほど、AIが主導的に業務を行っています。
やり取り改善(青系)
人間とAIが対話しながら成果を改善していく協働型の利用。
フィードバック(紫系)
AIの出力に対して人間がフィードバックを返す利用パターン。
学習(緑系)
AIを通じて知識やスキルを習得する目的の利用。
検証(黄系)
AIの出力を人間が確認・検証する利用。

なぜAIが入り込めないのか

🧑 AIの浸透を阻む「人間の強み」

81%の業務がAIに浸透していない理由は、以下の人間ならではの要素です。

AIにできない 危機対応

予期しない事態への即座の対応が必要

この仕事では厳密さ、正確さ、意思決定と問題解決を行うといった場面があり、AIだけでは対応が難しい領域です。

AIにできない 感情労働

人の感情に向き合う場面がある

この仕事では他者とのかかわりといった場面があり、AIだけでは対応が難しい領域です。

求められる力: 説明力、傾聴力

AIにできない 対面対応

非常に高い対面でのやりとりが求められる仕事

この仕事では他者とのかかわり、対面での議論といった場面があり、AIだけでは対応が難しい領域です。

求められる力: 説明力、傾聴力

AIにできない 身体作業

現場での身体作業が含まれ、完全な自動化は困難

この仕事では屋外作業、立ち作業といった場面があり、AIだけでは対応が難しい領域です。

AIは補助まで 責任判断

ある程度求められる責任を伴う判断が求められる

この仕事では意思決定の自由、結果・成果への責任、意思決定と問題解決を行うといった場面があり、AIだけでは対応が難しい領域です。

AIは補助まで 交渉

交渉力が求められる

この仕事では対面での議論といった場面があり、AIだけでは対応が難しい領域です。

求められる力: 説明力

AIは補助まで 暗黙知

経験から培われる暗黙知やカンが重要

AIが追いつきつつある領域

ただし以下の領域は、今後のAI進化でギャップが縮まる可能性があります。

変化の兆し 曖昧な判断

正解のない状況での判断力が特に求められる

この仕事では意思決定の自由、優先順位や目標の自己設定、意思決定と問題解決を行うといった場面があり、AIだけでは対応が難しい領域です。

変化の兆し 関連資格・学歴

高い学歴が求められる傾向がある

業界で変わるAIの影響

同じせり人でも、働く業界によってAIの影響度は異なります。

卸売業
AI化 19%
すでにAI化 AI活用で伸びる 組織のAI導入で恩恵 人間のみ
この分析の見方
すでにAI化
AIが直接代行している業務の割合。どの業界でも共通です。
AI活用で伸びる
AIツールを使いこなすことで生産性を上げられる領域。個人のスキルと業界のIT環境に左右されます。
組織のAI導入で恩恵
会社がAIシステムを導入することで、自然と恩恵を受けられる領域。
人間のみ
身体作業・対面・感情など、現在のAI技術では対応できない領域。

この職種の年収

厚生労働省「賃金構造基本統計調査」に基づくせり人の給与水準です。

業界で変わる年収

同じせり人でも、働く業界によって年収は大きく異なります。

学術研究,専門・技術サービス業 668万円
建設業 667万円
情報通信業 625万円
電気・ガス・熱供給・水道業 610万円
製造業 579万円
不動産業,物品賃貸業 565万円
金融業,保険業 551万円
鉱業,採石業,砂利採取業 547万円

出典: 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(2023年)

この職種に向いている人

ホランドの職業興味理論(RIASEC)に基づく適性タイプです。

S 社会的
3.8
E 企業的
3.5
C 慣習的
3.2
R 現実的
2.8
I 研究的
2.7
A 芸術的
2.5

人と関わり、助け、教えることが好きなタイプが向いています。

求められるスキルと知識

せり人に求められる主要スキルと専門知識です。スコアは5段階評価。

スキル

1
説明力 4.0
2
傾聴力 3.8
3
交渉 3.6
4
指導 3.3
5
文章力 3.3

知識

1
顧客サービス・対人サービス 2.6
2
販売・マーケティング 2.3
3
輸送 1.9
4
ビジネスと経営 1.8
5
事務処理 1.8

働く環境と雇用形態

働く環境

他者とのかかわり ほぼ毎日 90%
電話での会話 ほぼ毎日 78%
不規則(天候、生産需要、契約期間などで変わる) 不規則(天候、生産需要、契約期間などで変わる) 73%
屋外作業 ほぼ毎日 63%
対面での議論 ほぼ毎日 61%
時間的切迫 ほぼ毎日 61%
空調のきいた屋内作業 ほぼ毎日 61%
意思決定の自由 ある程度は自由がある 61%

雇用形態

正規の職員、従業員
74.1%
自営、フリーランス
22.2%
パートタイマー
3.7%
契約社員、期間従業員
3.7%
経営層(役員等)
3.7%
アルバイト(学生以外)
3.7%

せり人の将来性とAIの影響

「せり人はAIに代替されるのか?」という不安を持つ方に向けて、データに基づく分析をお届けします。

AI代替率: 19%

AI代替率は19%と低く、将来性のある職種です。危機対応・感情労働・対面対応・身体作業など、AIには難しい要素が業務の中心にあります。

AIが変える業務

現時点でAIに代替される業務はありません。人間の判断や対面対応が中心の職種です。

AI時代に求められるスキル

説明力・傾聴力・交渉といったスキルの重要性が高まっています。AIを補完する人間の強みを伸ばすことがキャリアの鍵になります。

よくある質問

せり人はAIでなくなりますか?

せり人はAIでなくなる可能性が低い職種です。AI代替率はわずか19%で、危機対応・感情労働・対面対応・身体作業など人間の強みが活きる仕事です。

せり人はAIに代替される?

AI浸透度19%の理由は、核心的価値が「商品の鮮度・品質を目で見て判定する力」と「市場の需給を読み、瞬時に値付けする決断力」にあるため。季節・天候・流通状況が刻々と変わる市場で、データベースだけでは対応できません。

せり人でAIはどう活用される?

業種により異なりますが、AI総合活用度は19%です。すでにAI化されている部分が19%、AI活用で伸ばせる部分が0%、組織のAI導入で恩恵を受ける部分が0%です。

せり人の将来性は?

生産者直売所やECサイトの成長で卸売市場を迂回する流通が増えている一方、品質の見極めと食品安全に関する「プロの目利き」の価値は高まっています。ブランド化を求める小売業者ほど優秀なせり人を必要とします。

AI時代にせり人に必要なスキルは?

品質基準と等級判定の深い知識、業界ネットワークと信用構築力、そしてデジタルツール(相場情報アプリ、取引システム)を使いこなす情報リテラシー。「人間にしかできない判定」と「データドリブンな価格提案」の両立が競争力です。

せり人で生成AIをどう活用できる?

現時点ではせり人の業務へのAI浸透は限定的ですが、今後の技術進歩により活用の幅が広がる可能性があります。

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最終更新: 2026/03/24

AI浸透度はAnthropicのAnthropic Economic Index (AEI)の観測値(CC-BY)に基づく。業種別分析は独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)作成「職業情報データベース」のデータを加工して算出。JILPTおよびAnthropicの見解ではありません。分析方法の詳細

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