経理事務の将来性 — AIに奪われる業務・残る業務
最終更新: 2026/03/24
請求書処理・仕訳・帳簿作成といった会計経理の基本業務は、OCRとRPA技術により自動化が急速に進んでいます。一方、経営層向けの決算分析レポート作成・税務申告対応・資金繰り予測といった経営判断に直結する業務は、会計知識と経営センスが不可欠でAIの出番は限定的です。
経理事務とは
経理・会計管理のソフトウェア、システム等を使い、社外との取引に伴う入出金、社内の資金管理、給料の支払等を行う。
この職種のAI浸透度は25%。 60件の業務のうち11件でAIが活用され、49件は人間が中心です。 対面対応などAIには代替できない要素も多く、 将来性の高い職種です。
なるには
入職にあたって、特に学歴や資格は必要とされない。新規学卒者の場合は、商業系の高等学校、経理や会計等の専門学校、大学の場合は経済・経営・商学を専攻している者が多い。入職後様々な部署を経験した後、経理部署に配属される場合もある。 中途採用については、決算や財務にかかわる業務がこなせるなどの経験が求められる傾向にある。 伝票の作成、記帳、計算、集計などの簡単な仕事から始めて経験を積み、予算・決算・資金計画などの仕事をするようになる。経理業務全般をマスターして一人前となるには数年程度かかる。 関連資格としては、「日商簿記検定」、「簿記能力検定」があり、取得していると仕事の役に立つ。 金銭を扱うため仕事の正確さ、注意力、几帳面さが求められる。また、決算期等の繁忙期は締め切りに間に合わせるため仕事の速さと粘り強さも必要である。
AI時代に伸ばすべきポイント
- タイプライターや計算機等の事務機器を操作する・異議申立のある小切手の支払いを阻止するため支払停止通知を登録するを極める — AIでは代替できない領域
- 請求書と関連書類の記録を管理するのAIツールを習得 — 効率化の武器に
- 傾聴力・資金管理の重要性が今後さらに高まる
AIはどこまで浸透しているか
経理事務の業務全体のうち、実際にAIが使われている割合です。
経理事務の業務の75%は、まだ人間が担っています。AIの影響を受けにくい職種です。
業務ごとのAI浸透度
経理事務の業務を、情報処理面でのAI浸透度で分類しました。身体作業や対面業務の実行は含みません。
AIが担う業務
人間が担っている業務
この分析の見方
各業務のAI浸透度はAnthropic Economic Indexの実測データに基づきます。
※ AI浸透度は業務の情報処理・判断面への浸透を測定しています。身体作業や対面対応など物理的な実行はAIでは代替できないため、浸透度が高くても人間の作業が不要になるわけではありません。
- AIが担う業務
- 情報処理面でAIが50%以上浸透している業務。ただし身体作業を伴う場合、実行は引き続き人間が担います。
- 人間が担っている業務
- AI浸透度が50%未満の業務。対面対応・信頼関係・判断力など人間ならではの強みが求められるか、AI技術がまだ追いついていない領域です。
カラーバーは業務ごとの「AIの使われ方」を示します:
- AI直接指示(赤系)
- AIに直接タスクを指示する自動化的な利用。この割合が高いほど、AIが主導的に業務を行っています。
- やり取り改善(青系)
- 人間とAIが対話しながら成果を改善していく協働型の利用。
- フィードバック(紫系)
- AIの出力に対して人間がフィードバックを返す利用パターン。
- 学習(緑系)
- AIを通じて知識やスキルを習得する目的の利用。
- 検証(黄系)
- AIの出力を人間が確認・検証する利用。
なぜAIが入り込めないのか
AIの浸透を阻む「人間の強み」
75%の業務がAIに浸透していない理由は、以下の人間ならではの要素です。
ある程度求められる対面でのやりとりが求められる仕事
この仕事では他者とのかかわり、対面での議論といった場面があり、AIだけでは対応が難しい領域です。
求められる力: 傾聴力、説明力
この仕事の原動力: 周囲や組織の支援
ある程度求められる責任を伴う判断が求められる
この仕事では意思決定の自由、結果・成果への責任、意思決定と問題解決を行うといった場面があり、AIだけでは対応が難しい領域です。
具体的な業務: 「現金や小切手の処理と管理をする。」「請求書を発行し、入金を確認して顧客の管理をする。」「製造原価の管理をする。」
AIが追いつきつつある領域
ただし以下の領域は、今後のAI進化でギャップが縮まる可能性があります。
正解のない状況での判断力が求められる
この仕事では優先順位や目標の自己設定、意思決定の自由、意思決定と問題解決を行うといった場面があり、AIだけでは対応が難しい領域です。
日商簿記1級、日商簿記2級、日商簿記3級などの関連資格があると有利
業界で変わるAIの影響
同じ経理事務でも、働く業界によってAIの影響度は異なります。デジタル化が進んだ業界ほど、AIとの接点が多くなります。
この分析の見方
- すでにAI化
- AIが直接代行している業務の割合。どの業界でも共通です。
- AI活用で伸びる
- AIツールを使いこなすことで生産性を上げられる領域。個人のスキルと業界のIT環境に左右されます。
- 組織のAI導入で恩恵
- 会社がAIシステムを導入することで、自然と恩恵を受けられる領域。
- 人間のみ
- 身体作業・対面・感情など、現在のAI技術では対応できない領域。
この職種の年収
厚生労働省「賃金構造基本統計調査」に基づく経理事務の給与水準です。
業界で変わる年収
同じ経理事務でも、働く業界によって年収は大きく異なります。
出典: 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(2023年)
この職種に向いている人
ホランドの職業興味理論(RIASEC)に基づく適性タイプです。
ルールに沿った正確な作業が得意で、組織の中で着実に成果を出すタイプが向いています。
求められるスキルと知識
経理事務に求められる主要スキルと専門知識です。スコアは5段階評価。
スキル
知識
働く環境と雇用形態
働く環境
雇用形態
必要な学歴・資格
AIでは代替できない専門性の証明。資格保持はAI時代の差別化要因になります。
関連資格
- 日商簿記1級
- 日商簿記2級
- 日商簿記3級
- 簿記能力検定(全経上級)
- 簿記能力検定(全経1級)
- 簿記能力検定(全経2級)
- 簿記能力検定(全経3級)
近い職種のAI浸透度
経理事務とキャリアが近い職種を、AI浸透度の違いで比較できます。
AI浸透度が低い職種
経理事務の将来性とAIの影響
「経理事務はAIに代替されるのか?」という不安を持つ方に向けて、データに基づく分析をお届けします。
AI代替率: 25%
AI代替率は25%で一部の業務は自動化が進みますが、対面対応が求められる領域は引き続き人間が中心です。
AIが変える業務
請求書と関連書類の記録を管理する、顧客に連絡し、口座情報の取得または伝達を行う、会計ソフトを使用して情報の記録・保存・分析を行うなどはAIの活用が進んでいます。これらの業務は効率化される一方、新たな役割が生まれます。
AI時代に求められるスキル
傾聴力・資金管理・文章力といったスキルの重要性が高まっています。AIを補完する人間の強みを伸ばすことがキャリアの鍵になります。
よくある質問
経理事務はAIでなくなりますか?
経理事務がAIで完全になくなる可能性は低いです。AI代替率は25%で、49件の業務は引き続き人間が担います。ただしAI活用スキルが将来性を左右します。
経理事務はAIに代替される?
定型的な記帳・仕訳・伝票起票はAIに任せられる領域ですが、『この経費計上は妥当か』『税務リスクはないか』といった判断には、法令知識と経営理解が必要です。経理事務が単なる入力業務から経営管理のパートナー業務へ進化できれば、職の価値は高まり続けます。
経理事務でAIはどう活用される?
業種により異なりますが、AI総合活用度は74%です。すでにAI化されている部分が25%、AI活用で伸ばせる部分が31%、組織のAI導入で恩恵を受ける部分が18%です。
経理事務の将来性は?
企業のデジタル化に伴い、経理部門も単なる事務処理から経営支援部門へ転換しています。リアルタイム財務分析・内部統制・コンプライアンス対応の重要性が高まる中、経営層をサポートできる経理事務人材の需要は着実に増しています。
AI時代に経理事務に必要なスキルは?
会計システム・ERPツール・BIダッシュボードなどのITリテラシーが必須です。加えて簿記資格だけでなく税務・経営分析スキル、そして経営層の意思決定をサポートする『コンサルティングマインド』が、経理事務の付加価値を左右します。
経理事務で生成AIをどう活用できる?
経理事務では11件の業務でAIが活用されています。主な活用領域は請求書と関連書類の記録を管理する、顧客に連絡し、口座情報の取得または伝達を行う、会計ソフトを使用して情報の記録・保存・分析を行うなどです。
この職種に影響するAI動向
実際のSaaS製品リリースがこの職種に与える影響を分析しています。
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最終更新: 2026/03/24
AI浸透度はAnthropicのAnthropic Economic Index (AEI)の観測値(CC-BY)に基づく。業種別分析は独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)作成「職業情報データベース」のデータを加工して算出。JILPTおよびAnthropicの見解ではありません。分析方法の詳細