行政書士の将来性 — AIに奪われる業務・残る業務

最終更新: 2026/03/24

24% AI浸透度(AI代替率)

建設業許可や産廃処理業許可など各種許認可申請で、要件確認や法令調査がAIで自動化され、申請書ドラフトも高精度で生成できます。しかし行政機関との事前相談での交渉や、顧客の事業展望に基づいた最適な手続き選択、複雑な要件を満たすための創意工夫は行政書士の専門技です。

行政書士の要点 2026/03/24 更新
AI浸透度(AI代替率) 24%
AIが関与するタスク 4件 / 20件
人間中心のタスク 16件
AIに代替困難な要素 対面対応・必須資格・免許
AI実装済み領域 24%
求められるスキル 傾聴力・文章力・説明力

行政書士とは

個人や事業主の依頼を受けて、県庁や市町村役場、警察署など官公署に提出する書類(電磁的記録を含む)を作成したり、作成した書類を提出する手続を代理・代行したりする。

この職種のAI浸透度は24%。 20件の業務のうち4件でAIが活用され、16件は人間が中心です。 対面対応や必須資格・免許などAIには代替できない要素も多く、 将来性の高い職種です。

なるには

行政書士の資格を取得し、行政書士会に登録・入会する必要がある。行政書士の資格は、行政書士試験を受験して合格するか、弁護士、弁理士、公認会計士、税理士の資格を持っている場合や、国・地方の公務員や特定独立行政法人又は行政執行法人の職員として一定以上の行政事務経験がある場合に取得できる。行政書士事務所に勤務して経験を積んだ上で、独立するケースが多い。土地家屋調査士、司法書士、社会保険労務士など関連した他の資格を持ち、兼業している人も多い。 法令に習熟し、官公署に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類についての知識と理解力が必要であり、具体的には、業務遂行上、商業登記や法人登記、建設業法、不動産や農地法等に関する知識が欠かせない。的確な文書を作成するための文章力も求められる。

AI時代に伸ばすべきポイント

  • 請求処理に関する情報・証拠を得るための審問を実施する・紛争当事者と面談し、争点の明確化と双方のニーズや利害関係の把握を行うを極める — AIでは代替できない領域
  • 審理に備え、法令・規則・政策・判例を調査するのAIツールを習得 — 効率化の武器に
  • 傾聴力・文章力の重要性が今後さらに高まる

AIはどこまで浸透しているか

行政書士の業務全体のうち、実際にAIが使われている割合です。

AI 24% 人間 76%

行政書士の業務の76%は、まだ人間が担っています。AIの影響を受けにくい職種です。

業務ごとのAI浸透度

行政書士の業務を、情報処理面でのAI浸透度で分類しました。身体作業や対面業務の実行は含みません。

4
AIが担う業務
16
人間が担う業務

AIが担う業務 浸透度 50%以上

86% 審理に備え、法令・規則・政策・判例を調査する
AI主導
86% 関連する法令・規則・方針・判例を適用して結論を導く
AI主導
78% 調停技法を用いて紛争当事者間の対話を促進し合意形成を導く
AI+人間
74% 事案に関する意見書や判断文を作成する
AI主導

人間が担っている業務 浸透度 50%未満

請求処理に関する情報・証拠を得るための審問を実施する
紛争当事者と面談し、争点の明確化と双方のニーズや利害関係の把握を行う
異議・申立て・証拠の採否に関する裁定を行う
紛争当事者との初回面談で仲裁手続きの概要説明や手続事項を決定する
正式審問に備えて召喚状の発行や宣誓の執行を行う
紛争当事者が署名する和解合意書を作成する
調停のための当事者間の面談日程を調整する
証拠・法律・判例に基づき賠償責任の範囲を判定する 補助
正当な請求に対する支払いを承認する 補助
請求者・代理人・証人に聞き取りを行い、紛争に関する情報を収集する 補助
不服申立手続の調査を行い法令遵守と事案処理の促進を図る 補助
和解案の受諾または拒否を勧告する 補助
申請書や戸籍謄本、医師・雇用主の記録などの書類情報を審査する 補助
天然資源配分や地域開発計画に関する環境紛争の交渉・解決を専門とする 補助
地域団体や学校に対して調停に関する講演を企画・実施する 補助
裁判手続きに参加する 補助
AIの使われ方: AI直接指示 やり取り改善 フィードバック 学習 検証
この分析の見方

各業務のAI浸透度はAnthropic Economic Indexの実測データに基づきます。

※ AI浸透度は業務の情報処理・判断面への浸透を測定しています。身体作業や対面対応など物理的な実行はAIでは代替できないため、浸透度が高くても人間の作業が不要になるわけではありません。

AIが担う業務
情報処理面でAIが50%以上浸透している業務。ただし身体作業を伴う場合、実行は引き続き人間が担います。
人間が担っている業務
AI浸透度が50%未満の業務。対面対応・信頼関係・判断力など人間ならではの強みが求められるか、AI技術がまだ追いついていない領域です。

カラーバーは業務ごとの「AIの使われ方」を示します:

AI直接指示(赤系)
AIに直接タスクを指示する自動化的な利用。この割合が高いほど、AIが主導的に業務を行っています。
やり取り改善(青系)
人間とAIが対話しながら成果を改善していく協働型の利用。
フィードバック(紫系)
AIの出力に対して人間がフィードバックを返す利用パターン。
学習(緑系)
AIを通じて知識やスキルを習得する目的の利用。
検証(黄系)
AIの出力を人間が確認・検証する利用。

なぜAIが入り込めないのか

🧑 AIの浸透を阻む「人間の強み」

76%の業務がAIに浸透していない理由は、以下の人間ならではの要素です。

AIにできない 対面対応

ある程度求められる対面でのやりとりが求められる仕事

この仕事では他者とのかかわり、対面での議論といった場面があり、AIだけでは対応が難しい領域です。

求められる力: 傾聴力、説明力

具体的な業務: 「官公署に提出する書類の作成についての相談を受ける。」「書類作成や手続きについての無料相談を行う。」

AIにできない 必須資格・免許

行政書士、税理士、司法書士など、法令で定められた資格・免許が必要

この仕事では結果・成果への責任といった場面があり、AIだけでは対応が難しい領域です。

必要な知識: 法律学、政治学

具体的な業務: 「外国人の在留資格認定手続きを代行する。」

AIは補助まで 責任判断

高い責任を伴う判断が求められる

この仕事では意思決定の自由、結果・成果への責任、ミスの影響度、意思決定と問題解決を行うといった場面があり、AIだけでは対応が難しい領域です。

求められる力: 合理的な意思決定

具体的な業務: 「成年後見人として、認知症や知的障害者の法律事務の代理や財産管理をする。」

AIは補助まで 暗黙知

経験から培われる暗黙知やカンが重要

この仕事の原動力: 達成感、自律性

AIが追いつきつつある領域

ただし以下の領域は、今後のAI進化でギャップが縮まる可能性があります。

変化の兆し 曖昧な判断

正解のない状況での判断力が特に求められる

この仕事では意思決定の自由、優先順位や目標の自己設定、意思決定と問題解決を行うといった場面があり、AIだけでは対応が難しい領域です。

業界で変わるAIの影響

同じ行政書士でも、働く業界によってAIの影響度は異なります。

サービス業(その他)
AI化 24% 潜在 +35%
すでにAI化 AI活用で伸びる 組織のAI導入で恩恵 人間のみ
この分析の見方
すでにAI化
AIが直接代行している業務の割合。どの業界でも共通です。
AI活用で伸びる
AIツールを使いこなすことで生産性を上げられる領域。個人のスキルと業界のIT環境に左右されます。
組織のAI導入で恩恵
会社がAIシステムを導入することで、自然と恩恵を受けられる領域。
人間のみ
身体作業・対面・感情など、現在のAI技術では対応できない領域。

この職種の年収

厚生労働省「賃金構造基本統計調査」に基づく行政書士の給与水準です。

業界で変わる年収

同じ行政書士でも、働く業界によって年収は大きく異なります。

金融業,保険業 944万円
鉱業,採石業,砂利採取業 750万円
学術研究,専門・技術サービス業 668万円
電気・ガス・熱供給・水道業 662万円
製造業 651万円
建設業 625万円
教育,学習支援業 615万円
卸売業,小売業 605万円

出典: 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(2023年)

この職種に向いている人

ホランドの職業興味理論(RIASEC)に基づく適性タイプです。

S 社会的
3.9
E 企業的
3.4
C 慣習的
3.4
I 研究的
3.3
R 現実的
2.7
A 芸術的
2.2

人と関わり、助け、教えることが好きなタイプが向いています。

求められるスキルと知識

行政書士に求められる主要スキルと専門知識です。スコアは5段階評価。

スキル

1
傾聴力 5.3
2
文章力 5.2
3
説明力 5.1
4
読解力 4.9
5
他者との調整 4.4

知識

1
法律学、政治学 3.7
2
事務処理 3.6
3
日本語の語彙・文法 2.7
4
顧客サービス・対人サービス 2.7
5
経済学・会計学 1.9

働く環境と雇用形態

働く環境

空調のきいた屋内作業 ほぼ毎日 63%
意思決定の自由 大いに自由がある 59%
座り作業 ほぼ常に 56%
不規則(天候、生産需要、契約期間などで変わる) 不規則(天候、生産需要、契約期間などで変わる) 56%
厳密さ、正確さ きわめて重要である 54%
電子メール ほぼ毎日 52%
立ち作業 就業時間の半分未満 50%
他者とのかかわり ほぼ毎日 44%

雇用形態

自営、フリーランス
85.2%
正規の職員、従業員
14.8%
パートタイマー
1.9%
経営層(役員等)
1.9%
アルバイト(学生以外)
1.9%
その他
1.9%

必要な学歴・資格

AIでは代替できない専門性の証明。資格保持はAI時代の差別化要因になります。

関連資格

  • 行政書士
  • 税理士
  • 司法書士
  • 土地家屋調査士
  • 宅地建物取引士(旧:宅地建物取引主任者)

行政書士の将来性とAIの影響

「行政書士はAIに代替されるのか?」という不安を持つ方に向けて、データに基づく分析をお届けします。

AI代替率: 24%

AI代替率は24%で一部の業務は自動化が進みますが、対面対応・必須資格・免許が求められる領域は引き続き人間が中心です。

AIが変える業務

審理に備え、法令・規則・政策・判例を調査する、関連する法令・規則・方針・判例を適用して結論を導く、調停技法を用いて紛争当事者間の対話を促進し合意形成を導くなどはAIの活用が進んでいます。これらの業務は効率化される一方、新たな役割が生まれます。

AI時代に求められるスキル

傾聴力・文章力・説明力といったスキルの重要性が高まっています。AIを補完する人間の強みを伸ばすことがキャリアの鍵になります。

よくある質問

行政書士はAIでなくなりますか?

行政書士がAIで完全になくなる可能性は低いです。AI代替率は24%で、16件の業務は引き続き人間が担います。ただしAI活用スキルが将来性を左右します。

行政書士はAIに代替される?

AIが許認可申請を自動化する中、行政書士の役割は残るのか?申請書の基本フォーマットはAIが生成できますが、個別案件の複雑な要件充足(経営管理体制の立証、指導履歴がある場合の説明)はまだ人間の判断が必要です。また行政機関の運用慣例や審査官との関係構築は、経験豊富な行政書士にしかできません。

行政書士でAIはどう活用される?

業種により異なりますが、AI総合活用度は59%です。すでにAI化されている部分が24%、AI活用で伸ばせる部分が24%、組織のAI導入で恩恵を受ける部分が11%です。

行政書士の将来性は?

許認可ビジネスの市場は今後どうなる?建設業・運送業など既存許認可は処理量が減少傾向ですが、一方で新規事業分野(DX・脱炭素関連)の許可申請や事業再編に伴う複数許認可の同時対応ニーズは増えます。顧客の経営課題を理解し最適な許認可ポートフォリオを設計できる行政書士の価値は上昇します。

AI時代に行政書士に必要なスキルは?

AI時代に行政書士に必要なスキルは?許認可法令そのものはAIが検索できるため、実務知識に加え業界知識が差別化要因になります。建設・運送・医療など顧客産業の事業モデルや経営課題を理解し、許認可戦略の提案ができる行政書士が求められます。

行政書士で生成AIをどう活用できる?

行政書士では4件の業務でAIが活用されています。主な活用領域は審理に備え、法令・規則・政策・判例を調査する、関連する法令・規則・方針・判例を適用して結論を導く、調停技法を用いて紛争当事者間の対話を促進し合意形成を導くなどです。

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最終更新: 2026/03/24

AI浸透度はAnthropicのAnthropic Economic Index (AEI)の観測値(CC-BY)に基づく。業種別分析は独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)作成「職業情報データベース」のデータを加工して算出。JILPTおよびAnthropicの見解ではありません。分析方法の詳細

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